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「わかっている! ヤツめ、一時は恐ろしい勢いで館の中を走り回っていたようだが、いくら速いとてナビをまけるはずもない…恐らくは傍受(ぼうじゅ)できない地下に潜伏したのだろう。これを見抜かれて捨てられたにしても反応が見当たらないからな? 他にダミーとして使えるような人間もいないのだから、それで間違いない…だが、この地下となるとこちらもその全容は把握できていないわけで…」
『あはっ、なあんだ! あそこの地下にあるっていう謎の施設の正確なデータ、結局はゲットできなかったんだね? クロらしくない! いつも下準備はぬかりないのに、今回は底抜けてばっかりじゃん*』
「む、いたしかたあるまい? そう、何しろ本部のヤツらがどうあっても消し去りたがっている俺たちクロフクの闇の歴史だからな、それこそは…! 親さえ望めば痛みも危険も伴わない試験管ベイビーだなんてものがごく当たり前になりつつある昨今よりも、ずっと昔の許されざる黒歴史だ。たとえ身内であれその中を家捜しされるようなマネは容認できなかったわけで…」
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