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「もうあの子と遊ぶのはやめなさい」
夏休みの宿題を書いている途中に、母親は言った。淳は母親を見上げる。
カルピスに入っている氷がカラン、とグラスにぶつかり音をたてた。グラスに視線を移しながら、「どうして・・・?」と問いかける。
あの子、とは淳がいつも遊んでいた男の子。何をするにも一緒だった。給食だって淳が好きなプリンがあると、『淳が好きだから』と言って自分の分をくれた。淳が逆上がりが出来ないと悩んでいると、一緒に逆上がりの練習を手伝ってくれた。
母だってまた遊びに来るように行っていたではないか。
「あの子の父親、万引きで捕まったのよ。その子供なんて冗談じゃないわ。変な事教えられても困るもの。子供は親に似るでしょう。淳には立派に育ってもらいたいの。お母さん心配なのよ」
「でも・・・・」
あの子には関係ないではないか。悪いことなんてしていない。そう、反論したかった。
「お母さんの言う事を聞きなさい!。お母さんに従っていれば、間違いないわ」
母の声が低くなった。淳が『でも』と言ったからだ。
「・・・・はい」
淳は母親の顔を見れなかった。
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