溺れる魚

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「飲んで、ハイになれば辛い気持ちがちょっと忘れられるだろ。そんで、新しい記憶を上書きしていけば、振られた事実も思い出になるんだよ」 「なるほど」  2杯目のビールを店員から受け取り、淳は口をつける。 「新しい彼女作れなんて、俺は言ってやらねーからな」 「どういう意味ですか?」 「お前だけリア充になるなんて、許せねー」 「応援してくれないんですか?」 「はぁ?。俺は何年彼女いねーと思ってんだよ。応援するなら、お前が俺を応援しろ」 「内野さん、理想高いですからね」  忘年会の時の白川の言葉を思い出す。 「俺に合う女がいねーんだよ」 「なるほど」  これは何年応援しなければいけないのだろうか。  その後は店長はいつ結婚するのか、という話になり、今年の本屋さーん大賞を予想をし、どんどん話はズレていった。  ずっと、未来の話をしているよりありがたかった。   「内野さん、今日はありがとうございます」 「あぁ?割り勘だぞ」  内野が先にお金を払ってくれていたので、勘違いしたらしい。
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