溺れる魚

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  そういえば、いつからだろう。皆川から毎日ラインが来るようになったのは。  携帯のラインのトーク履歴を見ながら、少し淋しい気もする。店に来ない事にホッとしたのに、昨日のラインを無視したのは自分なのに、淋しいなんてどうかしている。   誤魔化すように未来にラインをしたが、何分経っても返事は来なかった。既読にもならない。  最近は未来からの返事も少なくなった、と気づく。 (ほら、やっぱり皆離れていく)  どこか諦めのような気持ちで、携帯をしまった。  それからどこかスッキリしない思いで、午後の仕事をこなし、帰りの報告をしてから休憩室に向かう。休憩室に入ると、内野が「お疲れ」と挨拶してきた。 「お疲れさまです」 「今日、残業無し?」 「あ、はい」 「大分落ち着いたしな」  入学シーズンが終われば、夏が来るまで客の入りは減る。それまでは残業も無い。書籍も大きなイベントは無いので、同じく残業は無かった。 「あの、・・・内野さん」 「あ?」 「今日、暇ですか?」 「・・・・何、どうした」
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