第三夜 魔法の国から来た少女

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「なぁ魔獣?」 「なんですかな?」 一昨日ボクに召喚されて以来、ボクの部屋に居座っている魔獣が答えた。姿形は、裏原系黒ゴスロリ少女の様でなかなか可愛い。まぁ見た目は、この世界に合わせているらしいけど・・・嫌いじゃない。 「そういえばおまえさ、名前なんてんだっけ?」 実はまだ名前を訊いてなかった。 「えーーとあの・・・そうだアリスです!魔法の国のアリスですのん☆」 魔獣が子供にでも判るような嘘をつく。 「なんだそのあからさまな偽名は!?しかも今考えたよね!?」 「だって悪魔全般、誰にも真名を知られちゃいけないんですもん★」 「はぁ?何で?」 「名前まで完全に掌握されると、一生ご主人たまに仕えなきゃならない決まりなのですぅ★」 そういえば、そんなことを魔導書か何かで読んだことがある。それとも小説だったっけ? 「それは非常に困るな。迷惑極まりない」 ボクはあからさまに迷惑顔で答えた。 「なんでですかぁ!ご主人たまにとってはメリットだらけじゃないですか!」 「無理無理。用を済ませてとっとと魔界に帰ってくれ!」 「喚び出したのはご主人たまなのにぃ?」 「そうなんだよなぁ。おまえがベジタリアンとやらで使えないから用が果たせないんだよ」 「いくらご主人たまでも、人権の、いえ魔獣権を蹂躙するのは許せませんよぉ!」 魔獣が頬っぺを膨らませて抗議する。 「偉そうな口を利くなら、俺の倍も飯を食うのは止めてくれる?」 我が家の米びつはもう底をつきかけている。 「お米は素晴らしい植物ですよん♪あれほど美味しい植物は、魔界中探しても見当たらないですよぉ!」 そんなことは魔獣に言われるまでもない。 「当たり前だ。農業をなめるな!汗水垂らして働く悪魔なんか、魔界にはいねーだろ?」 「そっかー!!帰りに農夫を数千人魔界に連れ帰ればいいんですね?流っ石ご主人たま、あったまいー!」 「待て待て待てー!アドバイスした訳じゃないから!気軽にお土産物みたいにお持ち帰りするんじゃない!!」 ボクは必死に引き留めた。 「もぅしょうがないご主人たまですね★ではアリスはもうしばらくご厄介になりますよ♪」 「ムゥ~どうも言葉巧みに嵌められた気がする」 「悪魔ですから☆」 「やかましいわ!」 かわいいだけにがっぺむかつく!
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