野球少年と木の他愛もない会話

小学こうのころ

「きのこ、このやろう」

いっぱい、いっぱい、言ったことばだ。

きのこっていうのは、森にいるやつだ。

きのこっぽいあたまだから、きのこ。

きのこは森にいる。
おれは、やきゅうを毎日している。
そんで、よくボールをぶっとばす。

だから、ぶっとばしたボールを
森にさがしにいく。

そうすると、かならずきのこが
ボールをもっているんだ。

おれは、きのこにちかづいて
ボールをもらう。

けど、きのこは
なにもいわないんだ。

なにも言わないで、
おれにボールをわたす。

それでかえっていく。

「ありがとう」って言っても、
きのこはなにも言わない。

だから、「きのこ、このやろう」って
言うんだけど、
きのこはなにも言わない。

ふりむきもしない。
ほんと、むくちなやつ。

きのこ、このやろう。きのこ、このやろう。