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「ここ、どこのゲームの世界だろうな」
真っ黒な空を見上げ呟く涼真にしゅんは小さく頷いた。
「平和な世界に帰りたいな」
「平和な世界って…お前いじめられてて平和とか思ってたのか?」
空から一転、おかしな事を言うしゅんに顔を向けるとしゅんは苦笑いを浮かべた。
「そんなわけないけど、今より断然平和だと思うよ。こんなんじゃなかったら華原君だってケガしなかったと思うし」
「…だなー。まぁ、このケガは…お前をいじめてたバチが当たったって事にしたら納得できるな」
ケラケラ笑う涼真にしょうは呆れたように苦笑いを浮かべていた。
しばらくそんな他愛無い話をしていると学校で聞いたあの怪物の声が聞こえてきた。
-ガ…ウ…ァ…-
「「!!!!??」」
2人にもはっきり聞こえ顔を見合わせた。
「逃げよう!早く僕に掴まって華原君!」
しゅんは涼真をベンチから立たせようと手を引っ張る。
「!!!ダメだっ…もうそこにいる」
「えっ?」
しゅんは後ろを振り向くとすぐそこにはさっきの怪物とはまるで違う鋭い牙、鋭い爪、狼を巨大化したような怪物がそこには立っていた。
「クソっ…」
「あっ、華原君!?」
涼真はベンチに置いていたバットを手に取るとよろよろの身体で怪物にバットを向けた
『ガルルルルル…』
怪物は2人を警戒している様子で牙をむき出しにする。
「こんなのに敵うわけないよ!逃げよ!?」
「ヤダね!どっちにしたってやられるなら抵抗して死んだほうマシだ!!」
『グルァルァラァラァアァァーッ!!』
怪物は勢い良く襲い掛かってきた。それをバット一本で阻止しようとする涼真だったが身体もボロボロな涼真にはかなうはずもなくバットは無残にも粉々に砕け、涼真はその衝撃でベンチへと叩き付けられた。
「ウグッ」
「華原君!」
『グラアルァラァルアァァアアァァ!』
涼真に駆け寄るしゅんにも容赦なく襲い掛かる怪物にしゅんは死を覚悟して涼真を守るよう盾になり、両手を開いた。
「ば…かなことしないで逃げろ…逃げろ!沙神谷!」
「っ嫌だ!」
『ギャルアァラァラァー!!』
怪物は鋭い爪をしゅんめがけて振り下ろす。
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