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  2014年。師走── 神奈川県の某市。 古 びた 2×4 タイプのアパート。 俺の我が家である。俺の名前は、渡羊助。 建築現場の鳶職人として勤めを終え、我が家に 帰宅した所である。俺の我が家は築数十年の歳 月で老朽化も進み、あちらこちらに傷みがあり  取り壊しの案も上がっている。そんな中でも         住めば都で、俺が唯一疲れた              体を癒すオアシス                  である。 近 所のスーパーで、 今夜の晩酌の買い出しを終え、 アパートの錆びれた階段を登っている と、俺の携帯電話が着信音を鳴らした。発信者 は藤野佳織。俺の勤める会社の代表である。女 だてらに代表を務める理由は、先代代表が不慮 の事故死を遂げ、妻であった佳織女史が跡目を 引き継いだ為である。俺は佳織女史を、姐さん と慕い、先代亡き後も会社の繁栄に尽力してる 次第である。 「ハイ、どうしました?」 俺は、女史から連絡が来るなんて、又、経費で 立て替えた領収証の不備か、現場の出面伝票に 記載漏れでもあったのかと勘ぐった。  
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