第1章

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ギィはその声が気になり 声のする方へする方へと 森をどんどん進みます、 どんどんどんどん進みます。 いつもならそこでたらふくになるまで木苺を食べ、昼寝をする ギィのお気に入りの「俺様の木苺園」と名付けた場所も 眺めのいい丘に切り株で作った椅子を置き、空の色が変わるまで 雲の流れを見ている「俺様の椅子と空」と名付けた場所も ぐんぐん通り過ぎて行きます。 イバラが まるで大きな壁の様に立ちふさがる場所に出てきました。 ギィはこのイバラが酷く面倒なので この先には行ったことがありません。 それでも声はそのイバラの向こうから聞こえてきます。 ギィは腰のナイフを抜き そのイバラを少しづつ少しづつ切る事にしましたが、 切っても切っても分厚いイバラの壁はギィの腕一本でさえも通れない、 向こう側を覗くのがやっと。といった小さな穴しか開けられません。 ギィはその穴から覗いてみることにしました。 ーーーーーーッ!!!!! 覗いたギィの大きな目は こぼれ落ちてしまうんでは無いかと思うほど、大きく見開きました。 そこには この世のものとは思えないほど、 美しく青く光る物がありました。 セルリアンブルーー!!!!! 今朝、家で読んだ本の花に違いないっ!!! ギィは慌てました。 こんな珍しい物は自分の物にしなくてはっ! 他の誰にも見付かるわけにはいかないっ!! ギィは大急ぎで 刺にささりながら 血まみれになっても イバラを切り続けました。 どれほど時間が過ぎたでしょう。 空の色はすっかり赤くなっていました。 何とか通り抜けれるほどの穴を開け、 ギィは向こう側へとすり抜ける事が出来ました。 そこは周りも、空も全て分厚いイバラの壁で覆われていて、 イバラの僅かな隙間から入る光と、 隙間を通り落ち 湧き水が霧の様なシャワーとなって降り注ぐ、 とても幻想的な場所でした。 そのイバラのドームの中央に その花はありました。 青く輝く花は 、花というより 花の様な妖精の様な、、、 ギィがゆっくり近付くと 花は歌うのをやめ、ギィを真っ直ぐ見つめています。 ギィは こんな風に誰かに見られたのは初めてでした。
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