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その日から
ギィは毎日、1つづつ、
小さな草花や鳥が落とした羽根や、
川の石、捕まえた魚、
ギィが花の事を知った本など
色々な物を持って行ってはひとつづつ丁寧に花に説明しました。
花はどんな物も嬉しそうに見て
驚き感動して、ギィに感謝しました。
中でも本は特に気に入った様で、
ギィに本は毎日持ってきてください。と頼むほどでした。
毎日、本を見ていた花は
自分と同じ色の海の写真に酷く惹かれた様で、
『本物の海はどんなに大きく素敵なんでしょう…』
と
目を閉じる花に、ギィは
「見せてやるっ!!」と立ち上がりました。
花は一瞬喜びましたが
直ぐに
『無理よ…私はここから動けないもの…』
と肩を落としました。
ギィは少し考え、
何かを思い付いたのか急に飛び出る様に走って行きました。
程なくして
今度は飛び込む様に戻ってきたギィは自分がいつも使っている
大きな茶碗を突き出し
「俺がお前をここに入れて海まで連れてってやる!!」
と
白い牙を覗かせニカリと笑いました。
花は目を丸くして
『そんな事が出来るの?』と驚きました。
ギィは任せておけと言わんばかりに
自分の胸を強く一度叩くと、
花の足元の周りの土を
優しく優しく掘り始め、丁度茶碗と同じ位の土と花を一緒に掘り上げて
茶碗に入れました。
「どうだ?痛い所とかないか?大丈夫か?」
とギィが聞くと、
花はまだ信じられないといった表情で
『え、…ええ…大丈夫…。』
とだけ答えました。
ギィは安心して、
今度はイバラの蔓を一本引き抜き
刺を丁寧に落とすと、
母親が赤子をおぶ様に蔓を使って、
茶碗に入った花を背中に背負いました。
![image=497320862.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/497320862.jpg?width=800&format=jpg)
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