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「向こうに消えたってことはミザロヂーだよ。カノジョと一緒みたい」
姫良がなんでもないことのように云うと、知香のほうが落胆して息を吐きだす。
「じゃあ……帰る?」
「ううん。行く」
姫良がやにわに宣言すると、今度はこれ見よがしなため息が聞こえた。
「姫良って訳わかんない行動するよね。いまだについていけないんだけど」
「知香が会って話してみたいって云ったんだよ。わたしはそれを叶えてあげようってしてるだけ」
「わたしが口実なわけ?」
「鋭いとこ、突いてる」
「さっきの続き。『誤解しないで』って、じゃあどういうことってことじゃない?」
「いいから。行くって決めたんだから早く追いかけるよ」
笑ってはぐらかした姫良に向かって、知香はてんで呆れたとばかりに首をかしげた。
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