飛び込み死体をかっこいいと思った

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 まったくもってその通りだった。彼女の考え方は至極僕と似ていた。彼女の生き方の指針は僕の死に方の指針と重なっていた。  僕も飛び降りるのが最高の終わり方だとは思わない。ただ答えが出せずにこのまま延々と生き恥を晒すくらいなら、生きているという地獄を味わうくらいなら、最高でなくとも可及的速やかに答えを出すべきだと考えてここに立っている。 「だったらどんな死に方ならいいんだ?」  僕は尋ねた。彼女に答えを提示されてもそれにすんなり従うつもりはなかったけれど、単純にきいてみたかった。  僕は彼女に惹かれていた。 「それがわからないから考えているんじゃないですか」  自嘲めいた一笑が零れる。 「ただ、まあ、そうですね……例えば一見意味も因果関係もなさそうな行動にこそ真理が隠れていそうな気はしますね」 「というと?」 「例えばの例えば。水中で爆死するとか、屋上で水死するとか」 「どうやって? 水中では火がつかないし、屋上に水は貯まらないぞ?」 「手段はいつでも開発すればいいんですよ。その先に正しさがあるのなら」  ああ、そうだ。水中で爆死することによって自分らしく死ねるなら、化学物質でも特殊スーツでもなんでも生み出せばいい。そのために生きて、死ねばいい。 「それに」  彼女はいたずらっぽく口元に細い指を当てた。無垢な少女性が磨かれて、大人びた衣が剥がされた。 「屋上で水死する方法ならもうありますよ」
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