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「そんな大げさに
考えないでよ。
気持ちいいことしよって、
そんだけなんだから」
まるでどこぞの
スケベなおじさんの
セクハラみたいなことを
言いながら、
蛍太はにっこりと微笑む。
「蛍太、お願い。放して」
「やだ。
俺、もうスイッチ
入っちゃったから。
逃がさないよ」
微笑むけれど、
それはいつもの
太陽みたいな
アイドルスマイルではない。
しっとりとした
妖しさをたたえた、
２６歳の大人の男性の
それだった。
蛍太はいつも
無自覚で天然で──
そう思ってたけど、
ひょっとして、ちゃんと
使い分けているのだろうか。
芸能界にありがちな
“キャラ設定”というものを。
すっかり慄いて、
自分では動けずにいる
あたしの手を引きながら、
蛍太はそっと
耳元にささやく。
「大丈夫、
さっきのアミちゃんみたいな
仕打ちはしないよ。
……莉々は大事な
マネージャーで、
同級生だからね」
「……」
──女の子の誰にも、
特別扱いはしないって
言ってた。
なのにその言い方、
一体どういうことなの。
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