曖昧な愛情

31/35
298人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
  普段の軽薄さは 嘘なのかと思うほど、 蛍太の舌は執拗だ。 無遠慮に侵入してきて、 あっという間に あたしの舌を からめ取る。 舌の根を くすぐったかと思えば 器用に位置を変え、 あやすように なぞってから、 上顎をぞろりと 刺激する。 そんなところが 感じるなんて 知らなかったのに、 蛍太はそうやって 涼しい顔で あたしに新しい感覚を 植え付けていくのだ。 なんで蛍太だから 受け入れてしまうのかは 判らない。 でも、仕事中の緊張感を 一瞬で吹き飛ばしてしまうほど、 ただただ気持ちがいい。 自分の中の おんなの部分が、 ぐいぐいと力をつけて 覚醒してくるのが判る。 ──こんなのは だらしがないのに、 それがいいんだろうとも、 思ってしまう。 .
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!