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今のあたしは
よく判らない熱に
冒されつつあって、
ぼうっとしていたせいか、
自分から蛍太の舌を
咥えてしまう。
「……お」
嬉しそうに笑う
蛍太のうなじに手を回し、
力を込めた瞬間──。
背後で
ごとんと音がした。
「!?」
はっと振り返ると、
そこには目を丸くした
拓海さんが立っている。
びっくりしすぎて
言葉を失っていると、
拓海さんは暗い
シャドウの奥で光る瞳を
蛍太に向けた。
「てめえ、
なにしてやがる」
低くささやくいい声は、
あたしを気遣っての
ものだと判り、
血の気が引いていく。
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