曖昧な愛情

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  「いえ……」 「……。まあ、いいけど。 予定外に孕むのだけは 避けろよ。 今度はカズヤの胃に 穴が空くぞ」 「ええ、 拓海に言われたくないなぁ。 そっちはダイジョーブだよ、 ちゃんとつけてる」 「……蛍太!」 「いて」 顔は殴れないので、 蛍太の頭をぺしんと 手のひらで叩き、 その隙に腕から逃れた。 「もう、 ばかじゃないの! あたし帰る!」 顔が熱くなってくるのに 耐えられなくて、 必死に押さえていたはずの 声を上げてしまった。 パーテーションの 影から出ると、 志緒さんと凌士さんが こっちを見ていたので、 「お先に失礼します!」と 頭を下げバッグを掴み、 楽屋から飛び出した。 .
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