侵食する執着

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  「くだらないけど、 判って引っかかる俺も…… おんなじだ」 「けーた……」 ぎゅうぎゅうと 締め上げられた心臓が、 ほっと緩む。 「いつもつんと澄ましてる 莉々がそんなことしか 思いつかないとか…… 可愛くって、死にそ」 「あ、ああ……」 「……あは。ねえ、莉々。 ちょっと狭くなったよ。 ……こういうの、好き?」 「わかん、な…… は、ん」 「ねえ、言ってよ。 俺、なんでもしてあげるから。 ……莉々の好きなこと、 なんでもしてあげる」 ゆるゆると穿たれながら、 時々感極まった蛍太が 強く揺さぶってくるのが 嬉しくて、 言えない代わりに 汗だくの額に口付ける。 蛍太こそ、 あたしを悦ばせて── 一体どうしたいの。 .
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