侵食する執着

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  甘いマスクに 無邪気な言動、 それなのに 意外と低音な声。 アンバランスな魅力は 意外性という サプライズをはらんで、 女性達を惹き付ける。 アイドルの枠を越えて、 芸能界でも トップクラスの 資質だと思う。 ──けれど拓海さんの、 発した言葉の一音目で 絶対的支配者階級のものだと 判ってしまう 黄金の声に、 どうしたって 努力型の蛍太は敵わない。 多くの人が言うように、 努力の人が 天才に勝てないとは 思わない。 だけど天才が 努力を始めてしまえば、 努力の人は 凡才に成り下がる。 拓海さんは 芸能界だけでなく、 どんな世界に ふらふら足を踏み入れても いずれ一番上に 立ってしまう人だ。 彼に刃向っていっても、 やられるか 従うしかできない。 .
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