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──蛍太は一番身軽そうで、
遊びを取り入れた
方向性になる。
大昔に流行った
フォックスファーの
アクセサリーなんかが
普通に今でも
ハマるキャラだから、
腰に下げていることが多い。
ライブ中、
蛍太が客席に向かって
お尻を向け
ファーを振り回して
挑発する仕草は、
古臭いながらも
正直可愛い。
ああいうのは
羞恥心の薄い人が
やるからいいみたいだ。
ヨーロッパの騎士の
休日のような
今回の衣装を
着せられていく
メンバーを見ながら、
ほうと溜め息をつく。
「KE-TAさん、
可愛いですね」
ぽそりと
耳元でささやかれ、
顔を上げると
志緒さんが微笑んでいた。
「あ、そうですか……?」
「KE-TAさんは
真っ先に確認を
終えてしまうから、
いいですね。
拓海さんはもう、
時間がかかって」
いつも通り
語りかけてくれる
志緒さんに少し
違和感を覚えて、
その顔を凝視する。
やがて志緒さんは
あたしの視線に気付き、
あっと口を押さえた。
「……ごめんなさい。
言うなって言われてたのに」
「拓海さんですか」
.
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