侵食する執着

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  志緒さんは苦笑して 肩を竦める。 心当たりなんて、 この間のテレビ局での あれしかない。 拓海さんと志緒さんは 恋人同士だってことは 判っているし、 オフレコな話を 共有してても おかしくはない。 拓海さんも志緒さんに そういうことを こぼしたりするんだ……と、 天才の人間らしい部分を 覗けた気がして、 むしろ和んでしまう。 「……別に、 そういうんじゃないんですよ」 ぽつりとこぼすと、 志緒さんは首を傾げた。 「付き合ってるとか、 恋人とか…… そんなんじゃ」 ──だったら どうして求められるまま 応じてるの。 自分の中から、 嘲るような問いかけが 滲み出る。 「……ちょっと、 話しましょうか。 莉々さん?」 .
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