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「それで……
KE-TAさんと
付き合ってるって
聞いたんですけど。
違うってことですか?」
思った以上に
直球なことを言うから、
飲みかけている
コーヒーを
ぶっと吹き出しそうになった。
口に含んだコーヒーを
こぼさないように
ゆっくりと、
でも急いで飲み下す。
「ごめんなさい、でも、
気になっちゃって」
「い、いえ。
大丈夫ですよ」
なんとか飲み込んで
作り笑顔を返すと、
志緒さんはしゅんとした。
「──よくある、
大人の関係ってやつです。
蛍太は才能ある
アーティストで、
あたしはただのマネージャー」
「莉々さん」
「蛍太、読モに近付かないって
宣言せざるを
得なくなっちゃったじゃ
ないですか。
だから、その……
穴埋めのような」
言いながら、
自分の手のひらが
どんどん乾いてくるような
気がしてしまう。
「……仕事の一環ですよ。
本当に、よくある感じの」
──本当に、
未だにそんな悪しき慣例が
続いているのかどうか、
判らないけど。
お仕事のためなら
体の関係も厭わない、
っていう昔ながらのアレ。
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