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──とんでもない状況だと
判っているのに、
それが嬉しい。
常軌を逸脱した思考に、
涙が出てくる。
あたしの理性を
引き裂く蛍太が、
恨めしい。
その恨めしい相手に
もっとことを
進めて欲しいなんて
思ってしまう情けなさが、
また劣情を煽る。
「けーた、
けーた……おねがい、
もう……」
「ん?
……どっちのお願いかな、
それ……」
言いながら蛍太は
ジャケットを脱ぎ、
ふらふらする
あたしの身体を
後部シートに押し込んだ。
開きっぱなしのドアに
ジャケットをかけて
外からの死角を作ると、
蛍太はベルトを緩めながら
仰向けのあたしに
覆いかぶさる。
車をここに停める時、
蛍太が
「隅っこがいいよ」と言って、
あたしは遠回りになるよと
言いながらも
従ったことを思い出す。
……まさか、
ここに来た昼間から
そんなこと考えて……?
「莉々」
薄暗い視界で、
蛍太が熱っぽく
見下ろしてくるのが判った。
彼はそのまま
あたしの脚を持ち上げる。
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