寝ても覚めても

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  今思えば、 それが仕事が減っていった 原因だったわけだけど。 「やっぱりバンドゥと フリフリと花の 三強ですかね! 莉々さん胸の形いいから、 大盛りの花束に なりますよー!」 大盛りの花束って、 初めて聞いた。 しかもそれ、 胸のことだし……。 あたしが水着を試着する カーテンの向こうで、 ADさんがひたすら はしゃいでいた。 相手が女性だから こうしてつい 勧められるままに 試着なんてしてるけど、 ひょっとして こういう気軽さは お断りすべきだろうか、 とか考える。 お兄ちゃんは、 仕事は好きにしたらいい、 なんて言ってくれるけど。 長年事務所に 路線を決められてきて、 その通りに 振る舞ってきた身としては、 自由というのは 不安要素の方が大きい。 ブラの中で 胸の位置を整えながら、 ふと変なことを 思い出してしまう。 あたしの胸が 小さくもなく 大きくもないと はしゃがれたことだ。 .
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