寝ても覚めても

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  ……蛍太は、 手に収まるくらいが 好きと言った。 ブラの中に収めるために 抱えた今、 自分の手では 収まらないことに 気付いてしまう。 蛍太の手が 大きいってことだ。 ヒールを履いたあたしと そんなに身長は 変わらないくせに。 あれから蛍太は、 ことあるごとに あたしの胸に 手を伸ばしてくる。 そのスイッチを 押せばあたしが 逆らわなくなるんだろう、 と見越したように。 これまで意識せずに できていた動作に、 やたらつまずくように なってしまった。 やれ蛍太が ああしたこうしたと、 恋する乙女が いちいちを取り出して 眺めるみたいに。 ……ばかばかしい。 ここに蛍太なんか、 いないのに。 .
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