逆巻く彼の素顔

35/35
230人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
  「やかましいから、 あっちで話を つけてこい」 「拓海! てめええええええええ」 手錠を見た蛍太は、 わなわなしながら こぼれ落ちそうなほど 目を見開き、 拓海さんに 食ってかかろうとする。 その瞬間 あたしの手首まで 引っ張ってしまうものだから、 「痛い」と声を上げた。 蛍太は困ったように 立ち止まり、 あたしの手首を見る。 「蛍太。 お前、絶対に謝れよ」 「……」 拓海さんの静かな声に、 蛍太はふいっと 顔を背けた。 「でないとこのこと、 カズヤにチクんぞ」 「……卑怯だなー」 「どっちが卑怯だ、 クソが」 拓海さんは 蛍太の頭のてっぺんを、 軽く握った拳で ごつんとやった。 .
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!