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「ふざっけんなあああああ」
カーステレオから
流れる大音量を
掻き消す勢いで
蛍太が叫んだ。
今日はさすがに
疲れたと言って、
後部シートで
ゆったりしていた彼が
今日のあたしへの
仕打ちを
心から反省し始めたので。
──仕事が
だめになったのは
嘘だと告白したら、
叫び出したのだった。
「なんでだよ!
なんでだよぅ!
俺、嘘は嫌いだって
言ったじゃないか!
どうしてそんな嘘
つくんだよー!」
「だって、
さすがに頭に来るでしょ。
あたしの仕事を
邪魔するようなことして、
文句なんて言える立場なの?」
「謝ったじゃないか!」
「謝って済むと
思ってるの!?
自分が同じことされたら、
どうするの!?」
「……盗んだやつ殺す」
.
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