猛獣チワワと愚鈍な魔女

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ “Raison d'etre”の方、 と言われても、 この間のイベントより 先のスケジュールは ふんわりとしか 把握できてなかった (これもお兄ちゃんの 計算なんだろうか)。 だからワゴンが “lucieid”に 停まったことに驚いて お兄ちゃんの顔を見ると、 しれっとして肩を竦める。 ここに“Raison d'etre”が 来ているということは、 なんらかの打ち合わせなり 会議なり…… というところだろう。 お兄ちゃんが 中抜けしても 大丈夫なくらいの。 それくらいなら、 今のあたしにだって判る。 そのままビルに上がり、 窓から差し込む 太陽の強い光に目を細めた。 瞳さえ焼いてしまいそうな 西日は、夏そのものだ。 何度も何度も通り慣れた 会議室のある フロアへの廊下が 違って見えるのは、 立場が 違ってしまったからだろうか。 .
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