愚鈍な魔女と無礼紳士

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  「う……すみません…… 場数が少ないもので、 慣れてなくて」 「いやいや。 莉々さん、見るからに 真面目な方ですしね。 九鬼さんも ついてらっしゃることだし、 男どもも 変に触らずに遠巻きに してしまうのかも」 他のモデルさんと同じように 浮名もうけというわけには いかないかも知れませんね、 と松崎さんは言う。 浮名もうけって、 なんだろう。 なんとなく訊けずに 曖昧に頷いていると、 松崎さんははたと 時計を見やる。 「さて、遅いな。 満平女史、 なにしてんだろ」 明らかに 間を持たせるための言葉で、 今度はこっちから 話をする番だ、 と思った。 「あの、松崎さん」 「うん?」 .
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