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「でも、俺も
勝手なんだけどさぁ。
それが判っても、
心を受け取りたい相手は
決まってるんだなぁって」
「……それって、誰?」
「拓海とか、凌士とか、
九鬼さんとか」
仕事仲間じゃない、それ。
一瞬がくりと
ベッドに沈み込みたく
なってしまった。
けど、
確信犯のスチールグレーは、
あたしを見て穏やかに
細められる。
「その最たるものは、
もちろん莉々だよ。
俺、莉々の言うことなら
なんでも聞けると思う。
そこまで思える人は、
他にはいないよ。
ホントだよ」
「……けーた」
「だから──
俺だけの勝手な気持ちを、
押し付けたくない」
まあ、
結局なかなか辛抱できない
現実がここにあるけど、
と蛍太は小さく笑った。
「俺は好きに
自分の気持ちを言うけど、
受け流すか
受け止めてくれるかは──
莉々次第でいいんだよ」
「けーた」
「莉々以外への
“好き”に責任取る気なんて
ないしね、俺」
「判るわけないじゃない、
そんなの……」
「だから、
今頑張って
説明したじゃないかー」
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