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苦笑する蛍太は、
あたしの手のひらに
口づけながら
こつんと額を合わせてきた。
逃げようもなく
合わさる視線に、
喉の奥が熱くなる。
「俺の本心、
聞いたからには──
逃がさないけど」
「──!」
「今だって、
必死なんだからさ。
意地悪言わないで、
判ってよ」
「え?
あたし、
意地悪なんて……」
「莉々は他の女とは
違うってこと、
俺が一番よく
判ってるのにさぁ。
莉々がそうやってみんなと
同じになろうとするの、
たまんないんだけど」
「いや、それは……
なんて言うのかな、
自分の身の程を
わきまえていたくて、
その」
「なに言ってるの。
……まあ、
そんなところがよけい
ほっとけないんだけど」
蛍太は苦笑すると、
顔を寄せてきてちゅっと
軽くキスする。
そんなひとつひとつにさえ
まだドキドキするほど、
小さいのに。あたし。
「俺は、
“Raison d'etre”の
KE-TAだよ?
あのTAKUMIが、
いなくては困るって
思うくらいのメンバーなんだよ」
「……知ってる……」
「そのKE-TAが、
必死こいて跪いて
愛を乞うてるのが
莉々なんだよ?」
「……」
.
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