愚鈍な魔女と無礼紳士

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  「どのくらい 必死かって言うと」 もぞ、と シーツの奥深くで、 蛍太の手があやしく動く。 「えっ、あ……ッ」 「……こーして、 気持ちよくさせて、 なにも判らなくさせて……」 「やっ、ん……あ、ぁ」 指先で確かめられたとたん、 重たい圧力がかかる。 「やだ、そんな急に……」 「俺しかいないって、 思い込ませようと 必死なんだよ、 莉々……」 ふたりの間に、 一気に甘ったるく 湿った空気が満たされる。 「あたし、 思い込まされてなんか、 あ……」 「だって、 せっかく莉々が…… 俺に応えてくれる気に、 なったのに」 言いながら、 蛍太はあたしの身体を 押し上げかすれ声の 溜め息を漏らした。 あたしを 感じてくれてるんだと 判って、 それだけで涙が出てくる。 「そのまま、 勘違いしてて欲しい…… 俺がいいんだって」 さっきまで蛍太は そこにいたのに、 また1から 馴染まされる感覚が、 たまらない。 「ちが……あたし、 勘違いなんか、 してな……ッ」 「だって、 でなきゃ莉々が 俺なんか選ぶわけない」 なにがもどかしいのか、 苛立ち交じりで蛍太は ぐいぐいと押し上げた。 さっきのは 完全に加減されていたらしい。 .
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