愚鈍な魔女と無礼紳士

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  「……あの、 “Raison d'etre”のこと なんですけど……」 「ああ、 すみませんでしたね。 CMソングのこと、 黙っていて。 結果が出るまでは 極秘中の極秘だと 満平女史に 指令を受けていまして」 「そうなんですか」 あたしの 訊きたかったことは、 あの時蛍太のことを 持ち出されたことだ。 終始平常心が 失われっぱなしになった 理由はだいたいそれで、 松崎さんが “Raison d'etre”と 言っていればそこまで 慌てなかった。 事務所の先輩という 意味かなとか、 色々取れるし。 でも、 ピンポイントで 蛍太って言うから。 「……もしかして、 KE-TAさんのことを 持ち出した話です?」 「!」 「あ」 松崎さんは あたしの反応を見てから、 にやっと笑った。 .
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