愚鈍な魔女と無礼紳士

23/40
前へ
/40ページ
次へ
  満平さんにけしかけられ、 だるそうに質問してきた 松崎さんを思い出す。 だるそうにしながらも、 その顔にはずっと 微笑みが浮かんでいた。 「松崎さん……!?」 やっと思い当たった あたしを見て、 松崎さんの顔が へらりと崩れる。 「ふは。 ……すみません。 そういう、ことです」 「最初から 気付いてたなら、 そう言ってくださいよ……!」 手元のボールペンを 回しながら、 松崎さんはくつくつと 笑い出した。 「いえ。 あの撮影現場の記憶は 自分しか持ち合わせて いないものですし。 勝手に人前に 晒していいものでは ないですから」 「……そうでしょうけど……」 態度のわりに、 堅いことを言う。 ちょっと意外だった。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

270人が本棚に入れています
本棚に追加