愚鈍な魔女と無礼紳士

24/40
前へ
/40ページ
次へ
  「それに、 あの頃KE-TAさんとは お友達だったこと── 撮影後そういう話、 全然聞かなかったですし、 知ってましたけどね」 業界に出入りしてると 色んなお話が 耳に入るので、と 松崎さんは言う。 「だから、 なんかいいですね。 ……今も仲良しなんだと聞くと」 「……そうですか?」 お兄ちゃんに この話を聞かれたら 怒られそうだけど、 ごまかしようもないので 諦めた。 「おまけに、 いい仕事だったなんて聞くと。 自分が主立って 手がけた仕事じゃなくても、 なんか嬉しいもんです」 「そんなふうに 言ってもらえるなんて、 恐縮です……」 松崎さんの手の中で くるくる回っていた ボールペンが、 こつんと止まって 定位置に収まる。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

270人が本棚に入れています
本棚に追加