愚鈍な魔女と無礼紳士

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  「松崎さん、あたし、 木島さんから聞いてますよ! 本気で莉々さんの ファンだって! 個人的な接触は 九鬼さんに代わって、 阻止します」 「……志緒ちゃん。 そんなんじゃないって、 もう」 松崎さんの顔に、 「さっき散々 ふたりで話したもん」という 不満が過る。 ばちりと目が合ったけど、 志緒さんのガードを 拒否する理由もないので へらりと笑ってかわした。 「オーディション 落選組への対応、 俺が頑張って やってるんだよー。 褒めてクダサイヨ」 わざとらしく 口を尖らせながら 強調する松崎さんを見て、 マドレーヌを抱えた 志緒さんの顔が少し曇る。 「あれ、 まだ、 あるんですか?」 トーンの落ちた 志緒さんの声に、 はっと顔を上げる。 .
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