愚鈍な魔女と無礼紳士

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  「ええ、まあ。 普通のモデルさん達は もう次、次って フットワーク軽くて いいんだけどね。 女優の肩書きが おありの方が、 納得いかないようで」 「……はあ、 女も年かさが増すと 潔いか往生際悪くなるかに ぱっきり分かれますからね」 意外とはっきり言い捨てる 志緒さんのハーフアップの 髪がやわらかく 揺れるのを見ながら、 首を傾げた。 女優……? 年かさが増す……? ──失礼ながら、 ひとりしか 浮かばなかった。 「……保坂さん?」 あるいは、 マネージャー時代なら それをうっかり 口に出すことなんて なかったと思う。 けれどあの時 控え室で散々 いやな思いをしたぶんだけ、 口が軽く滑ってしまった。 .
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