愚鈍な魔女と無礼紳士

6/40

270人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
  「拓海には、 よく鼻で笑われたけどね。 お前、遊んでいい女と だめな女の区別も つかねえのか、って」 「……」 ……判ってたけど、 “Raison d'etre”は鬼畜だ。 同じ女性の立場としては、 “男性が気楽に 遊んでもいい女”なんかに 普通の顔をして うろうろされては 困るのだけど。 でも、そこのところは 考えれば考えるほど 判らない。 恋愛そのものを 遊びだと思っている人は 自覚のあるなしに関わらず、 たくさんいる。 相性が合わないとか、 気に入らなくなったとか、 言うこと 聞いてくれないとか…… 自分の周囲で 繰り広げられていた 恋愛のあれこれに、 そんなので別れるんだ…… とぼんやり 疑問に思ったことは 一度や二度じゃない。 今思えば、 あたしはとても 執念深い方なんだろう。 自分じゃなにも 働きかけてこなかったくせに、 ずっと蛍太のこと好きで、 忘れずにいたとか。 その自覚は しこたま遅かったくせに。 ……蛍太を 思い通りにしたいとか 言うことを 聞かせたいどころか、 遊ばれてるんだろうなぁ、 って悲しい思いをしつつも、 彼に求められれば 逆らえなかったし。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

270人が本棚に入れています
本棚に追加