愚鈍な魔女と無礼紳士

7/40

270人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
  「ねえ、けーた」 「うん?」 「あたしは、遊ぶ女? それとも、違う方?」 「はぁ? なに言ってんの」 蛍太は呆れたように 見下ろすと、 はあぁと長く深い 溜め息をついた。 「言うに事欠いて、それ? 俺、そんな 信用ないの?」 「そういうわけじゃ……」 「やめてよね。 俺、毎回必死に 莉々のこと 愛してるつもりだけど」 「あい……」 「言わなきゃ 判らないんでしょ? だからちゃんと 言ってるのに」 「そうだけど…… でもけーた、 “好き”ってけっこう 誰にでも言うじゃない……」 「ぬっ」 心当たりがあるのか、 蛍太の眉根がじりっと 寄せられた。 そのまま額を押さえて、 なんでかあたしの上に 跨ろうとする。 「ちょっと、けーた」 「いや、そうだけど、 そうなんだけど、 なんだろうな、 違うんだよ。 んー」 「……」 上に乗っかりながら、 蛍太はあたしの脚をどける。 この体勢には 覚えがあって、 今度はあたしが眉根を寄せた。 「ねえ、けーた」 「いや、 考えてたらもう一回戦 イケそーだなと」 「ちょっと」 「聞いて、莉々」 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

270人が本棚に入れています
本棚に追加