愚鈍な魔女と無礼紳士

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  そのまま蛍太は 床ドンみたいなことを してくる。 彼があたしに 危害を加えるなんてことは 一切ないと判っているから そのまま見上げると、 きらりと光る スチールグレーと ぶつかった。 「俺の言うことがね、 軽く受け取られてるのは 知ってる」 「……自覚あったんだ」 「だって、そうしてるもん」 蛍太は口を尖らせると、 視線を泳がせようとした あたしのそれを 顔を傾け引き戻す。 「こんなこと、 言いたくないんだよ、 ホントは。 でも莉々が判らないって 言うから」 「それは、 あたしのせいって 言いたいの? あたしのためなの?」 「ええ…… この体勢でよくそんな 小賢しいこと言うなぁ。 そっかぁって そのまま受け止めてよ」 小賢しいと言われて、 言葉を飲み込んだ。 むすっと口唇を 尖らせると、 蛍太は笑って顔を 近付けてくる。 「俺が言葉を 軽くするのは、 相手に責任 押し付けたくないからだよ。 莉々」 「責任?」 「そう。 心を込めて、 ゆっくりちゃんと話せば、 聞く気のある人には 伝わるに決まってる」 「……それは、 そうだろうけど」 .
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