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オーディションの時は
おどおどと緊張してたし、
保坂せつなさんのことが
判らなかった。
だからもぞもぞ話すしか
できなかったけど。
“ええ。
拓海がごちゃごちゃ
言わなくたって、
莉々の声、いいよー。
特に笑い声”
蛍太がそう
言ってくれたから、
信じる。
彼がこの世界で
見ているものを
あたしも見るんだと、
自分で決めた。
「さっき、
キウイのソルベを
いただいたんですけど。
とっても
おいしかったですよ。
せつなさん、
よろしければお勧めです」
誰が聞いても
なんの損もない言葉を
手繰り寄せた。
あたしの背後に
立ったことで
アドバンテージを
取ったとでも思っていたのか、
保坂せつなさんの
口の端が
ひくりと上がる。
「……そう。
迷ったら私も
いただこうかな……
キウイ」
「ぜひ」
.
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