赤と青の真理

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  ディスプレイの中で 慎ましく咲いた トルコキキョウを うっとり眺めながら言うと、 白瀬さんが 椅子に腰をぶつけた。 「莉々さん!」 「……あ、すみません。 何も考えずに 発言してしまって」 赤い製品の撮影だから、 赤い気持ちで いた方がいいと 思っていたのだ。 だから昨夜は “風と共に去りぬ”を 観てきた。 我ながらベタすぎるけど。 慌てて説明しようとすると、 すぐに体勢を整えた 白瀬さんが がしりと両肩を 掴んでくる。 「いいです! 莉々さんのその感覚、 私好き! それで行きましょう」 「あ、は、はい。 よろしくお願いいたします」 頷くと、白瀬さんは 満面の笑みを浮かべた。 白い素肌に、 薄いそばかすが いっぱいの白瀬さんは それだけで童顔で とても気さくな 雰囲気だ。 あたしも この空気好きだな、 と思った。 .
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