赤と青の真理

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  「ちょっと、蛍太」 さすがにその仕草は あからさまで、 小さく彼を嗜めた。 すると蛍太は 顔を近付けてきて、 にやっと笑う。 「だいじょーぶ、 みんな俺のすることなんか 気にしないよ」 低くささやく声に、 拓海さんによく似た 艶麗さが混ざって 響いた。 会う度に違うなにかを 覗かせてくる 蛍太の引き出しは、 一体いくつあるのだろう。 自分がどう見られているか 熟知しているのは 素晴らしいけれど、 巻き込まれる あたしの羞恥心も 考えて欲しい。 蛍太と付き合い出して 判ったけど、 人前でいちゃいちゃするのは 得意じゃないもの。 「莉々は、 しゃーなしに 俺に付き合って されるがままって 顔してればいいよ。 ……セクハラされてるなんて 周りには思わせないから」 「蛍太」 .
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