赤と青の真理

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  白瀬さんの 指示のもと、 機材に囲まれた 大きなディスプレイに、 たった今撮った 映像が流される。 雑だけど、 合成される予定の CGの背景が映し出されて、 完成品のイメージが しやすい仕様に なっている。 そこに今まで撮った 映像を繰り返し 流してみるものの、 白瀬さんの眉間には 皺が刻まれたままだ。 問題は、 白瀬さんが 画に納得できないことだ。 色んな角度から 撮られた映像を 何度も見たせいか、 あたしにはなにがどう “違う”のか判らない。 白瀬さんの隣で、 蛍太が顎に手を当てて 目を細める。 「なーんか、 緊張感がないよね。 うまく言えないけど」 一瞬、肝が冷えた。 そんな軽い口調で言ったら、 白瀬さんの神経を 逆なでしないかと 思ったのだ。 .
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