250人が本棚に入れています
本棚に追加
蛍太の企みは、
結果あたしのためだ……
ってことが多いけれど、
驚かされるのは
いちいち心臓に悪い。
できれば
なにをするつもりなのか、
ちゃんと話して欲しい。
……でも、
白瀬さんがさっきまでの
動きでいいと
言うからには、
従った方がいいんだろう。
蛍太がなにか
企んでいることが
判っていても。
カメラや照明の
チェックを終え、
スクリーンの床に貼られた
バミの前に立つ。
10メートルほど
先まで軽く走り、
蛍太を振り切る──
やらなければ
ならないことは、
それだけだ。
あたしの少し
後ろに貼られた
バミの前に立つ蛍太は、
じっとこっちを
見ていた。
目が合うと、
溶けるように
ふわりと微笑む蛍太。
思わず同じように
笑い返しそうになって、
本番前だと気付き
ぺちぺちと頬を押さえた。
.
最初のコメントを投稿しよう!