赤と青の真理

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  「監督、 ちょっとこっちが」 機材を見ながら、 アシスタントさんが 白瀬さんを呼ぶ。 白瀬さんは あたし達に向かって 手を挙げ「待って」と ジェスチャーした。 もう数十秒 待たされるのだと判って、 後ろにいた蛍太が こつこつと 歩み寄ってくる。 「莉々、拗ねてる?」 「別に、 拗ねてはいないけど……」 「ごめんね。 でも、莉々が生で 驚いた表情が いいんじゃないかって 言ったら、 白瀬さんが意外と 乗ってきちゃってさぁ」 「なにを提案したか 知らないけど、 監督のせいにしないの」 「てへ。ごめん」 まったく、 口だけなんだから。 ちっとも 悪びれない声色で、 蛍太は低くささやく。 .
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