赤と青の真理

30/34
前へ
/34ページ
次へ
  「大丈夫。 俺はひたすら、 莉々を綺麗に 撮ってもらうことしか 考えてないよ」 「でも、蛍太」 「あと、 莉々は俺のだって 言って回りたい。 こんな綺麗でいい女が 俺にメロメロなんだって」 こしょこしょと 耳をくすぐる甘い声に、 身をよじってしまいたくなる。 「……そんなこと、 言った覚えないんだけど」 「俺も、 言われた覚えは ないけどね。 ……でも、抱いてたら判る」 「……」 「今日の俺の仕事、 これだけなんだ」 「だから?」 「どっかホテル取って お泊まりしよ、莉々」 「──……」 よくもこんなところで そんなことを、と 突っ込もうとした瞬間、 アシスタントさんと 話していた白瀬さんが 颯爽とカメラの隣に 戻ってくるのが 目に入った。 .
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

250人が本棚に入れています
本棚に追加