赤と青の真理

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  蛍太、と 名前を呼ぶことで せめて窘めようとしたのに、 彼はふっと甘く 溜め息で笑い落とし、 自分の立ち位置に 戻ってしまう。 「莉々さん、 KE-TAさん、OK?」 あたし達の ひそひそ話には気付かず、 白瀬さんはすっかり スイッチの入った顔で こちらを睨んだ。 画を撮る生業の人って、 スイッチが入ると どうしても狩人のような 目つきになってしまうらしい。 ちょっと怖くて 逆らえない。 「大丈夫です」 「俺もー」 緊張するあたしとは違い、 蛍太は呑気に、 たぶんにこにこして 白瀬さんに答えた。 「OK。 じゃあ、 行きますからねー」 言うが早いか、 白瀬さんは後ろのブースに 手を挙げて 合図する。 .
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