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なかなか会えないことを
不満に思うなんて、
許されない……のだけど。
恋心というのは、
誰の──自分自身の
指図さえ
受けないものらしい。
頭ではしっかり
理解できているのに、
蛍太恋しさに
べそをかく夜が増えた。
季節が
秋めいてきたせいもある。
電話じゃ足りない。
声で、言葉で、
彼も同じように
あたしを思ってくれていると
判っても、
どうしても足りない。
お腹が空く感覚よりも
もっと切実な
飢餓感が渦巻く。
──だから、
今日会えるのが嬉しい。
顔を見るだけで
辛抱できるだろうか、
なんて妙な不安が
頭をもたげる。
26年間、
自分の中に
そういう欲求があることに
気付きつつも
知らずに来れたのに。
……そんなことばかり
考えることが増えた。
本当に恥ずかしい。
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