256人が本棚に入れています
本棚に追加
「……誕生日」
「え?」
「誕生日に、
なにか買ってくれるなら
許す……」
すると、蛍太は
ぱぁっと笑顔を咲かせた。
ああ、
この顔見たら
もうどうでもいいや。
「判った!
買う買う!
なにがいいかな?」
「ゆっくり考える……」
あたしが堂々と“Raison d'etre”の
アイドル担当に
誕生日プレゼントを
ねだり出したものだから、
スタジオ内の空気が
少しやわらかくなった。
……これでも、
周囲に気を
遣っているつもりだ。
あたし達が恋人だなんて、
ばれないように。
「けど、
まだ怒ってるんだからね。
みんな見てるのに、
みんな見るものなのに、
こんな」
一応建前を
付け加えてしまったのは、
蛍太のためだった。
いつも現場で
モデルの女の子に
軽々しくキスしてるような人に
思われたくない。
.
最初のコメントを投稿しよう!