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さっきの蛍太の
口唇のやわらかい感触を
思い出し、
顔が熱くなってくる。
するとワンピースの陰で
小指をするっと掴まれた。
顔を上げると
そこにいたのはもちろん蛍太で、
彼はすべて
判っているような
優しい微笑みを
たたえている。
小指で小指を繋がれて、
“好きだよ”って言うみたいに
すりすりと撫でられた。
「流しますね」
まだいくらか緊張した声で、
白瀬さんがあたしを
気遣ってくれる。
心の中だけで
「カメラ外でおしばいをして
ごめんなさい……」と
こっそり懺悔しながら、
ディスプレイを見つめた。
さっきのように
CGの街並みが
スクリーン部分に
雑にはめ込まれ、
画面が動き出す。
白瀬さんが
マウスを動かすと、
ディスプレイには
3台のカメラが
それぞれ追ったものが
現れた。
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